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ワクチンで防げる病気で 子どもを亡くさないために【Dr.村中璃子のからだノート・後編】

子育ては24時間365日のオンコール。「病気だって休めない」あなたと、 あなたの大切な家族を守るため、医療や健康にまつわる知識を身につけよう。

ワクチンで防げる病気で 子どもを亡くさないために

この手紙が書かれたのはオリビアの死から24年後、1986年になってからのこと。頑なさや無知、不安からワクチンを拒む親たちを何とか説得できないかとの思いから、イギリスの医療当局に宛てて書いたのがこのオープンレターでした。

麻疹はよくある病気で、「罹っても治るからいい」と思っている人も多いでしょう。親の世代は「昔はみんな罹った」と言うし、自分も罹ったという人もいるでしょう。私も子どものころに罹って学校を休みました。

しかし、麻疹は時に、深刻な症状を引き起こします。特に髄膜炎が起きた場合、医者にできることはなく、今でも、先進国でも約1000人に1人の子どもが亡くなります。ただし、オリビアが亡くなった年の1年後の1963年にワクチンが開発され、今では予防できる病気になっています。

日本でも今年の春、沖縄などで麻疹が流行しました。昨年一昨年の流行で多くの死者を出した欧州とは異なり、全国的な流行にならなかったのはワクチンの接種率が高かったからなのです。

村中 璃子さん
医師・ジャーナリスト。京都大学医学研究科非常勤講師。世界保健機構(WHO)を経て、メディアへの執筆を始める。2017年、ジョン・マドックス賞受賞。著書『10万個の子宮』(平凡社)。
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